このユニットは「予想を超えて実にいい音」と以前から書いてきたが、それとともに「高域がハイ上がり気味でBGMとして長時間聴いているにはちょっとキツいかも」とも書いてきた。
実はここ最近、この高域がハイ上がり気味というのを、どのようにして改善しようかとずっと考えていた。
そして、マルチウェイシステムでは、例えばウーファユニットに低域のみの信号を流す際、高域のカットにはコイルを直列に通すわけだが、これとまったく同じことをやってみようかと閃いた。
つまり、カットオフ周波数さえ高くすれば、パワーアンプから送られてくる生信号のうちこのユニットにとってウィークポイントである高音域の信号レベルをパッシブイコライザ的にわざと低下させることで、音の良さの印象やトーンの明るさ解像度のクリアさを多少犠牲にしてでも、何としてもとにかく「耳に心地よく聴き疲れしない音質」にすることができるのではと思い立ったわけである。
そうと決まれば、実行に移す前にシミュレーションでテストである。
いくつかの音楽の録音をPCでHPF処理による高域カットオフを施したサンプル音声をいくつか用意してそれらを再生し、その音声をパワーアンプからダイレクトに(つまりユニットには途中何も直列に通さないでそのまま)"L02-013A-08-B"に流していろいろ試してみた。この際、わたしが納得する音質になるように、カットオフ周波数を様々に変えて音質を変化させたサンプルを作り直し、シミュレーションを何度も繰り返すのである。
そうして、このユニットにはだいたい計算上では「0.5mH」のコイルを通すのが最適かもしれないと判断するに至った。
きょう、上野での仕事帰りに秋葉原の
コイズミ無線に立ち寄って0.5mHのコアコイルを買ってきた。
ふたつ買って822円(税込み)。
6dB/oct -3dBクロスのネットワークにおいて、0.5mHのコイルは8Ωに対しておおよそ2500Hzから上をカットしていく設定らしい。
音を聴いて何の根拠もなく決めたので、はっきり言って超・テキトー、あはははは〜♪
でもシミュレーションではこのくらいのほうが、このユニットのハイ上がり気味な特性をわたしの好みどおりに正せたと思うし、DAITO-VOICE "F120C85-1" 120mm Full-Range Speaker System "CUBIC"
のように中・高域にまとまりがあり様々なジャンルを無難にこなす(と感じられる)特性にできたし、そんなことよりも大切なこととして、実に耳に心地よい響きになったので、0.5mHあたりが適当かな、と思ったワケで。
.......ていうか、ホントは0.4mHのものが欲しかったんだけど、そんな設定のコアコイルは売ってなかったのでこれで我慢....。
シミュレーションと実践は「ズレる」のが当たり前なので、ひょっとしたら予想より少し外れる音質になるかもしれない....と、ちょっと心配or期待でしたね。
さて、このコイルを、プロトタイプシステムのスピーカターミナルの「+」端子のコードに直列に接続して組込んでみた。

こんな具合にね。
で、早速聴いてみた。
第一印象は、「............やっぱちょっと高域落ちてるネ.....」うん、ちょっと心配してた通りになった。やっぱり0.4mHくらいのコイルが欲しいなぁ、そうするとAltecらしくクリアな印象の音質にできたかもしれない.............................と思ってしまいそうだった。
でもよく考えてみると、コイルなので、これを回路に直列に通したということは、若干でも「抵抗がある」ということすなわちユニットの能率が全体的に多少落ちることでもあり。
そこで、少しわずかにボリュームを上げて聞くと.....。おおっ!いい具合!!ようやく、シミュレーションで聴いた通りの音にかなり近づいた。
以前チャキチャキな奴だったのが、きょうは急に人が変わって落ち着きのある優しい紳士…みたいな、まろやかで耳辺りの良い音質に変わった。これはいい音である!!
いろいろな音楽をかけてみる。ISOPHON "Orchester" SINCE 1960 =Hi-Fi MUSIC MONITOR SYSTEM Takayori Okino Original Version MARK II 2016/10/27=
のようにフラット特性で細身に高域が伸びているわけではなくかえって高域は低下してるので、Altecらしさはちょっと後退したかもしれないのであるが、このセッティングはまず気になっていたキツさがなくなって、中域に厚みが増し、ほどよく削がれた高域とのつながりが極めて滑らかで、わたしにはとにかく何を再生しても耳に心地よく、心穏やかに音楽を聴くことができるようになって、BGMとしての使用には十分実用的な音になったかなと思う。
かなりレベルの高い音である。OK、これイケる!!
さぁ、そろそろキャビネットの設計をして、システムを組立ててみるか(^o^)b!!