・ISOPHON "Orchester" SINCE 1960 =Hi-Fi MUSIC MONITOR SYSTEM Takayori Okino Original Version MARK II 2016/10/27=

わたしの音楽の師より、2014年の秋に譲り受けたドイツ製の30センチ同軸ヴィンテージ・スピーカユニットによる、フロア型のオリジナルミュージックモニタとして2016年10月27日に完成した。
平面バッフルから始まり幾つかの過程を経て完成。
1.8センチ厚のオール赤松集成材、外寸で高さ63.6cm×幅40cm・奥行31.8cm、その容量は設計上おおよそ61.6L程度。実測インピーダンス2.4Ω(公称4Ω)。21.7Hzバスレフポート装備。能率は98dBで我が家が所有するスピーカシステムの中では最も高い能率である。
ドイツのIsophon社のカタログによると、同社では当時、30センチ同軸ユニットは2タイプあり、一つはこのOrchesterというモデルでプロフェッショナルユース、もう一つは楕円型のP2132というモデルでコンシューマ用という位置付けであったようである。
そういうこともあり、Orchesterは当時、ドイツのテレフンケンやテルデックのスタジオモニタとして多用されていた経歴を持つ。
それだけに、すべての音声信号の「基」なる音をセッティングするために必須であるモニタスピーカとして抜群の性能を間違いなく有していると思う。
解像度が非常に明瞭で色に例えるならば「無色透明」、極めて純真無垢で格調高い音色であるのが大きな特徴である。
間違いなく、我が家で最高峰のシステムです。
だから、音について多くを語る必要はもはやないであろう。すべての面において優秀なのであるから。贅沢!
・Altec Lansing "409-8E" COMPACT SPEAKER SYSTEM Takayori Okino Original Version 2016/11/11
Altec Lansingの20センチ同軸スピーカユニット"409-8E"は元来、劇場やそのロビー、スーパーの天井などに埋め込んで主にアナウンスを流すようなシーンの使用を想定されて作られたユニットで、本来はオーディオスピーカとして使うのは目的がまるで異なるのであるが、肉声の再生においては抜群の能力を発揮することはもちろん、ヴォーカルものの音楽が得意ということもあって、いわゆる"409シリーズ"のファンはかつてから人知れずいる。
このユニットについてははじめにElectro-Voiceのものを入手していたが、その後しばらくしてこのユニットのことをネットで調べているうちに、"409-8E"はもともとはAltec Lansing社が製造しており、それが後に同社がElectro-Voice社に買収され製造が続けられていたものであったことを知り、わたしの師がその邸宅に、やはりAltec Lansing社のフラッグシップモデルとして名高い"Voice of the Theatre A5"をお持ちであることから、別に師と張り合うわけではないのだけれど、そのAltec Lansingの"409-8E"が急に欲しくなってヤフオク!で探していたところ、大変コンディションの良いものを落札、さほど時間をかけずして入手できた。これはご縁だと思っている。これでわたしもアルテックユーザーと愉悦している。
やはり平面バッフルから始まり、色々な過程を経て、最終的には、すでに完成していたElectro-Voice "409-8E"のキャビネットに「お引っ越し」する形でシステムが完成した。
1.2センチ厚の赤松集成材によるバッフル、1.3センチ厚ファルカタ材による天板底板と左右側板、そしてベニア合板による裏板(一部1.8センチ厚赤松集成材)で構成。外寸で高さ60cm×幅40cm・奥行18cm、その容量は設計上おおよそ32.2L程度。実測インピーダンス7.3Ω(公称8Ω)。42.6Hzバスレフポート装備。能率は97dBで、サイズ的なことと、公称8Ωにしてはかなり高い感応性を誇ると思う。
20センチといえど、フィクスドエッジの影響か低域が苦手とされているユニットであるが、写真のキャビネットのように、赤松より比重が軽いファルカタ材と32L程度の少々狭めな容量とは相性がいいようで、わたしの耳には案外それなりに芯のある締まった低音が出ているように感じる。
また「アルテックトーン」と言われているように、カラっとした明るい響きであるのは確かで、イメージとしては明るく晴れ渡った晩秋の青空にたとえることができるかと思う、そして前に飛んでくるようなやや硬質な響きは実に爽快であるが、大きめの音量で聞くにはちょっときつい感じ。若干青みがかった音色という印象で、わたし的にはほとんどのジャンルの音楽をカバーできると思う(というより何でも聞いてる)けれど、声楽曲などヴォーカルものや室内楽などの小編成スタイルの音楽の再現がお得意分野かもしれない。モニタスピーカとしては使ってはいけない「音」だが、お気に入りの一品である。
・DAITO-VOICE(東京コーン紙製作所) "F120C85-1" 120mm Full-Range Speaker System "CUBIC" Takayori Okino Original Version
12センチ径の小型フルレンジユニットで、秋葉原にある「コイズミ無線」で2000円弱で買える。
きっかけは、こちら『
お花屋さん花裕・店長のスピーカーの自作へのおさそい』のページをふとした機会たまたま見かけ、そこにこのユニットのことが書かれてあり、概要として「安いユニットなのに音の良さにノックアウト!」てな評価だったので、一体どのような音なのか興味が沸き、その衝動を抑え切ることができなくなってとうとう購入してしまったのである。
1.8センチ厚の赤松集成材で作成。このキャビネットの形状から「キュービック」と名付けた。
外寸で高さ20cm×幅20cm・奥行14.5cm、その容量は設計上おおよそ3.9L程度。実測インピーダンス7.9Ω(公称8Ω)。背面に88.3Hzのバスレフポートを装備。能率はカタログスペック上では89dBでBOSE 101MMにほぼ相当する感応性だが、このキャビネットによる実使用では、わたしの耳には案外しっかりとした響きで音量は十分出ており、実際には先に紹介した
ISOPHON "Orchester" SINCE 1960 =Hi-Fi MUSIC MONITOR SYSTEM Takayori Okino Original Version MARK II 2016/10/27=
とほぼ同一の能率としている。
『
お花屋さん花裕・店長のスピーカーの自作へのおさそい』のページでは「バシンと張った中域」と彼は書いているが、わたしが自作したシステムにおいては、わたしの耳にはそんな風には響いてこない。
コルゲーションエッジの影響か、やはり低域は大の苦手、本当にそうだと思う。
しかし、響きそのものは、あまり大きめの音量にしなければ、ネット上で一般的な評判通り、その安さや頼りない見てくれの想像に反して、一言で言えば、非常に素直で優しく滑らかな、実に心地よい響きで、妙な着色もない分純粋、本当に「刺激のある音は出てこない」(^_^;)、少々ゆるい響きだけれど、それは"Orchester"の性格に近いものがあり、あらゆる音楽を聞くことにおいて安心感がある。
安さゆえの荒さはあるが、安さゆえの効率の良さからくる能力の高さも感じられる(!?)、あまり伸びない高域でも、ほとんど響いてこない低域でも、その間で鳴り響く帯域は実にクリアでしっかりしているためか、そんなことは別段大した問題ではなく、フルレンジは人間の耳にこんなにも心地よく響くものであることを教えてくれているような、そんな優しさと堅実さを兼ね備えていると感じる。
ハイファイな音ではないし、モニタスピーカとしては使ってはいけない「音」だけれど、これはこれで実に優秀なスピーカシステムではないだろうか、とにかくこのスピーカユニットが持つ魅力を何と表現すれば良いのだろう、あまり大きめにしないで気持ち抑えた音量であらゆる音楽をこじんまりと聴くのに適していると思う。少なくともわたしは、他の2機種と差別なく満遍なく交替で繋ぎ変えてオーディオを楽しんでいる。
以上3機種の自作スピーカシステムを紹介してきたが、どれもそれなりの個性と特色と、何といっても魅力的な音質を有していて、わたしの中では、これらのうちどれが一番か、優劣つけがたい存在となっている。
正直な話、どれで聞いても、それぞれの良さを味わえ、どれでも楽しめる。
これらの自作スピーカシステムについては、現時点でまだ不完全なページもあるけれど、このブログ以外のネット上にWEBページを公開しているので、検索して見つけて読んでみてほしい。
自作スピーカの世界は、たとえば他人の耳で聞けばいろいろあるだろうし、わたしが「コレ凄くイイ音でしょ?」とか「これ素敵な響きだよね〜?」と言えば「ううん、そんなことない」となりそうだけれど、それだけ本当にキチガイな趣味の領域で.......一度ハマるとやめられない、皆さんもやってみてください、自分だけが大きく愉悦に浸れる、自分だけの素晴らしいオーディオシステムが出来上がりますから。
このブログでは、もう一つだけ自作スピーカシステムを作ろうとして、その記録を綴っていきます。